鼻づまりが何ヶ月も続いているが、原因がわからない
2020.12.12
アレルギー性鼻炎であったり、すぐわかるような副鼻腔炎であったり、鼻中隔が大きく曲がっていたりすれば、鼻閉感(鼻詰まり)の原因もすぐ分かりますが、そうでない場合も結構あり、他の病院で診断がつかずに当院を受診される方も多いです。
私(院長)は大学病院に勤務していた頃、鼻閉外来という専門外来を担当していた時期がありました。鼻詰まりに関しては、一般の耳鼻科の先生より、経験と知識の引き出しは多く持っていると思います。
当院では、鼻腔の観察に特化した、短く、角度もつけやすい細径内視鏡を用意しています。これによって、通常の内視鏡では見えない狭い部分の奥まで見ることができるので、匂いを感じ取る嗅裂や、副鼻腔との通路がある中鼻道などの様子を知ることができます。
自覚症状としての鼻閉感と、客観的に評価した鼻閉は、必ずしも一致しません。そのような場合、当院では、鼻腔通気度計という、鼻詰まりを客観的に、グラフや数字で表せる検査機械で検査を行います。この検査機械も、一般の耳鼻咽喉科にはあまりないと思います。
薬剤性鼻炎というのは、血管収縮剤の入った点鼻薬の連用で、かえって鼻詰まりが長引いてしまう病気です。市販の点鼻薬の多くは、血管収縮剤を含有しています。鼻詰まりの治療に使った点鼻薬が、”リバウンド”で、鼻詰まりの原因になってしまうのです。私は薬剤性鼻炎の患者さんの経験も、普通の先生より多いと思います。”今日の耳鼻咽喉科・頭頚部外科治療指針”という本では、薬剤性鼻炎について執筆させてもらいました。
血管運動性鼻炎というのは、自律神経の不調が原因で、アレルギー性鼻炎に似たような症状が起きる病気です。一般の鼻炎薬も有効なことがありますが、他の自律神経症状を伴うことも多く自律神経の不調を改善させることも必要です。当院では治療に漢方薬を加えることが多いです。
アレルギー性鼻炎であれば、適切な薬を使用すれば鼻づまりをコントロールできますが、薬はどんなに効いても、症状を抑えるだけで、長く続けてもアレルギーが治るわけではありません。アレルギーを”治す”ためには、舌下免疫療法が有効です。当院でも積極的に舌下免疫療法を行っています。
レーザー治療の効果の持続は、最新のデータでは3ヶ月から6ヶ月程度ですが、比較的即効性のある治療法です。花粉症の予防に、12月から1月ごろにレーザー治療を行うことは有用です。通年性アレルギーやアレルギー以外の原因の鼻づまりにも行っています。
軽度の鼻茸などは、当院で局所麻酔で内視鏡下手術を行っています。治療を行っても治らず手術が必要な、中等度以上の副鼻腔炎や、高度の鼻中隔弯曲症については、その手術のエキスパートである、慈恵医大の先生を紹介しています。