患者さん中心の医療と、科学的診断と新しい技術を提供いたします。

副鼻腔炎と画像診断(超音波、レントゲン、CT)

副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎

副鼻腔炎の症状と検査

副鼻腔は鼻と繋がる空洞で、頬の上顎洞、おでこの前頭洞、目の内側の篩骨洞、一番奥で脳に近い蝶形骨洞の4つが左右それぞれにあります。

 

院長は大学病院勤務時から専門医として鼻副鼻腔炎の診療に当たってきました。火曜、水曜の午前中には、難治性副鼻腔炎の患者さんを対象とした副鼻腔炎外来を行なっており、この時間帯に手術も行なっています。

 

 

副鼻腔炎の症状

①粘性または膿性鼻汁(時にくさい)

 

②後鼻漏←副鼻腔炎の鼻汁は、のどに流れやすい。

 

③鼻閉(鼻づまり)←鼻汁貯留+粘膜腫脹

 

④咳、痰←後鼻漏

 

⑤嗅覚障害←嗅覚障害の原因の1位は副鼻腔炎

 

⑥痛み:

成人の急性上顎洞炎→頬の痛み、歯痛

前頭洞炎、蝶形骨洞炎→頭痛←三叉神経後頸部の筋の凝り

 

副鼻腔炎の検査

 

内視鏡検査

通常の電子内視鏡に加え、当院では狭い嗅裂副鼻腔入口部付近の観察に鼻内観察用細径内視鏡を用いています。

 

コーンビームCT副鼻腔炎の正確で詳細な診断が可能で、一般のレントゲンと同様放射線被曝は少なく、従来CTに比べると検査料も安く、撮影の準備から結果の供覧まで数分で行えます。

(レントゲン検査)←CTに比べて情報は限定的、検査料は安価。

上顎洞超音波検査←妊娠中の方、小児

         急性上顎洞炎の診断と経過観察

 

嗅覚検査:”におい評価表”

     “オープンエッセンス”

 

血液検査:血中好酸球←好酸球性副鼻腔炎

     アレルギー検査←アレルギー性鼻炎合併

 

鼻茸組織の病理検査←好酸球性副鼻腔炎の難病認定

 

 

 

副鼻腔炎の画像診断(超音波、レントゲン、CT)

副鼻腔炎は画像診断によってより正確で詳細な診断ができます。画像診断には1.超音波検査 2.レントゲン 3.CTがあります。

 

超音波検査は、小さいお子さんにも繰り返し行うことができ、妊娠中の方でも行える安全な検査です。しかし、上顎洞以外の副鼻腔については診断できません。レントゲンは、篩骨洞や前頭洞についてもある程度分かりますが、CTほど詳しい正確なところまでは分かりません。また、蝶形骨洞については、レントゲンでは全く分からず、CTが必要です。

 

当院では、2021年10月からコーンビームCTを導入しております。コーンビームCTは従来のCTに比べ、放射線被曝の量は少なく、検査料も比較的安く、検査時間も短く、準備から撮影、結果の供覧まで数分で可能です。

副鼻腔炎を超音波検査で診断できるのですか?

超音波で診断できるのは副鼻腔のうち上顎洞だけですが、幼小児の副鼻腔炎はまず上顎洞に炎症を起こしますので、超音波検査で診断できます。また大人でも成人の急性副鼻腔炎の多くは上顎洞に炎症を起こします。レントゲン検査も1回撮るだけなら、飛行機で太平洋を往復して空から浴びる放射能より少ないぐらいですが、小児や妊娠している方はもちろん、普通でも必要最小限にとどめたいものです。

副鼻腔炎の診断にコーンビームCTは必要ですか?

CTによって、一般のレントゲンでは分からない、いろいろな詳しいことを知ることができます。情報の量と正確さについては、CTと一般のレントゲンとでは圧倒的な差があります。さらにコーンビームCTなら、放射線被曝も一般のレントゲン同様わずかです。

 

従来は、CTが必要な時には、近くの施設に依頼していましたが、2021年10月1日から、当院もコーンビームCTを導入しました。正確で詳細な診断が必要な時には、CTは必須と言えます。

画像診断(超音波、レントゲン、CT)の比較

幼小児の副鼻腔炎と大人の急性副鼻腔炎は、主として上顎洞に起きますので、超音波検査で十分診断できます。年長児や大人の慢性副鼻腔炎では、レントゲンが必要な場合もありますが、それも正確な診断には不十分です。正確で詳細な診断には、CTが必要です。

 

CTでは、一般のレントゲンより格段に詳細な画像が得られ、レントゲンでは分からない蝶形骨洞の炎症や、歯性上顎道炎の診断も可能です。当院では従来のCTより放射線被曝量が格段に少なく、検査料も安い、コーンビームCTを、2021年10月から導入しました。

超音波

レントゲン

  超音波 レントゲン コーンビー ムCT 従来のCT 
上顎洞

篩骨洞 X ◎ 
前頭洞 ◎  ◎ 
蝶形骨洞 X ◎  ◎ 
骨の様子 X ◎  ◎ 
 軟部組織の様子  X
放射線被曝 ◎なし 少ない  少ない  やや多
検査時間

◎リアルタイム

数分  数分

他施設に依頼

検査料

無料 約800円  約3000円

 7000円以上

その他の検査

副鼻腔炎の診療における検査は超音波査を主体に行いますが、必要であれば次のような検査を行うこともあります。

副鼻腔入口部内視鏡検査

鼻の奥を正確に見ることが必要な場合には、内視鏡を用います。

高画質の電子スコープが標準ですが、小児では細い内視鏡を用います。その画像は必ず、画像あるいは動画としてファイリングシステムに記録し、患者さんや保護者の方にもお見せしながらご説明します。

鼻腔通気度検査

鼻腔通気度検査は、鼻づまりの程度を測定してグラフと数字で示すことができる検査です。

 

他の検査では鼻づまりの原因が見つからない時に有用です。

 

スパイロメトリーという喘息の診断などに用いる呼吸機能測定機に、鼻腔通気度検査用の測定装置を装着して行います。

副鼻腔炎の種類と治療

それぞれ治療法も異なります。診断を間違って正しい治療を行わないないと、治りません。

 

・急性副鼻腔炎:

発症して1ヶ月以内。風邪のウイルスで弱った副鼻腔粘膜に細菌が感染して起きます。膿性の鼻汁で、頬の痛みや頭痛を伴うことも多いです。

治療:原因菌に感受性のある(=有効な)抗生物質

   鼻汁の吸引(重要)、 ネブライザー 

 

・慢性副鼻腔炎:

長期(発症して3ヶ月以上)続きます。急性副鼻腔炎が治らずに遷延したものですが、特殊なものとして、歯性(歯の根っこから細菌が入るのが原因)やかび(真菌)による副鼻腔炎があります。

治療:マクロライド少量長期投与

   鼻汁の吸引(重要)、 ネブライザー 

 

・小児鼻副鼻腔炎:

長く続いているように見えても、急性炎症の繰り返しが多いです。集団保育でお友達から繰り返し菌をもらうことが原因です。まだ保育園に行っていなくても、集団保育を受けているお兄さんお姉さんがいると、ご兄弟から菌をもらいます。

治療:鼻汁の吸引(重要)、 ネブライザー

 

好酸球性副鼻腔炎:

多発性鼻茸嗅覚障害気管支喘息合併血中好酸球増加が特徴の、難治性副鼻腔炎です。

治療:ステロイド、デュピクセント

 

難治例手術

当院では、以下の手術を日帰りで行っています

内視鏡下鼻副鼻腔手術I型(鼻茸の切除、副鼻腔への交通路)

II型(前篩骨や上顎洞の単洞手術)

III型(前篩骨洞と上顎洞など複数洞の手術)

 

IV型(汎副鼻腔手術)、V型(拡大副鼻腔手術)が必要な場合、あるいはII型、III型であっても、出血などのリスクが高い場合は、入院や全身麻酔ができ、慈恵医大出身の副鼻腔手術に習熟した専門家がいるご紹介します。