嗅覚検査と嗅覚障害の治療
嗅覚障害の原因として一番多いのは副鼻腔炎です。好酸球性副鼻腔炎が典型的ですが、他の副鼻腔炎でも嗅覚障害は生じることがあります。複雑な味覚は嗅覚の助けがあって感じますので、嗅覚が鈍くなると味覚も弱く感じます。
当院では、鼻腔の観察に特化した細径内視鏡で嗅裂などを観察し、副鼻腔レントゲン撮影を行います。また、においアンケートで嗅覚障害の程度を評価した上で、必要に応じて、オープンエッセンスという新しい方法で、嗅覚検査を行っています。
副鼻腔炎による嗅覚障害は、副鼻腔炎の治療とステロイドの点鼻で、ほとんどの方が治ります。
しかし、好酸球性副鼻腔炎では、点鼻だけでは嗅覚は戻らないことが多いです。好酸球性副鼻腔炎の患者さんの多くは気管支喘息を合併していますが、喘息治療でステロイドと気管支拡張剤の合剤を吸入するとき、吸った空気を口からではなく鼻から吐き出すと、効果が出る場合があります。
嗅覚障害の原因として副鼻腔炎の次に多いのは、感冒(風邪)のウィルスによる嗅神経の障害です。嗅神経の修復には、当帰芍薬散などの漢方薬が有効な場合があります。
1日何回か、数種類のにおいを10秒ほど意識してクンクン嗅ぐトレーニングも、有効とされています。
ステロイド点鼻のための快適な姿勢
Kaiteki(快適) positon (you tube)
- 1
点鼻する側を上にして、横になります。
- 2
そのまま首を回して顔を30度上に向けます。
- 3
次に顎を30度上げ上側の鼻に数滴点鼻を行い、しばらくそのままでいます。
- 4
身体を起こすと薬がのどに落ちてくるので飲み込まずに口から出して、うがいをして薬を洗い流します。
- 5
反対側も同様に点鼻します。
新型コロナウイルス後遺症
新型コロナウイルスに感染した方が爆発的に増え、それに伴って以下の様なコロナ後遺症に悩まれる方も多くなっています。
*嗅覚異常
*味覚異常
*呼吸困難感
*咳、痰
*倦怠感
*発熱・微熱
嗅覚異常、味覚異常は耳鼻咽喉科が専門とする症状であり、呼吸困難感や咳、痰も耳鼻咽喉科医がよく見る症状です。
倦怠感、微熱については、まだよく分からない免疫応答によるものかも知れませんが、上咽頭炎では慢性的な炎症とともに自律神経症状を伴うことも多いので、これも耳鼻咽喉科による診察が必要と考えます。
当院でも新型コロナウィルスの後遺症に積極的に取り組んでいます。コロナ後遺症の嗅覚障害の原因は複合的な場合も多く、正確な診断と治療及び嗅覚トレーニングが必要です。自律神経症状を伴う上咽頭炎については、Bスポット療法だけでなく、漢方治療により、効果をあげています。