嗅覚検査
嗅覚障害の原因として一番多いのは副鼻腔炎です。好酸球性副鼻腔炎が典型的ですが、他の副鼻腔炎でも嗅覚障害は生じることがあります。複雑な味覚は嗅覚の助けがあって感じますので、嗅覚が鈍くなると味覚も弱く感じます。
当院では、鼻腔の観察に特化した細径内視鏡で嗅裂などを観察し、副鼻腔CT撮影を行います。また、日常のにおいアンケートで嗅覚障害の程度を評価した上で、必要に応じて、オープンエッセンスという新しい方法で、嗅覚検査を行っています。
嗅覚の検査は、耳の検査に比べると、遅れていると言わざるを得ません。患者さんに匂いを嗅いでもらって分かるかどうかを答えてもらうという自覚的検査しかありません。
(1)嗅覚同定検査
いくつかの種類がありますが、当院ではオープンエッセンスという検査を、必要に応じて行っています。マイクロカプセル化した12種類の嗅素が印刷されたカードを用いて検査します。この検査は、基準嗅覚検査とも十分な相関があります。
(2)基準嗅力検査:5種類の匂いを8段階の濃度で嗅いでもらいう検査。日本ではこれが標準的な検査となっていますが、5種が日常生活で経験する匂いとは限らず、本格的な換気設備が必要なため、大学病院などの嗅覚専門外来でないと難しい検査です。(当院では行っていません)
(3)静脈性嗅覚検査(アリナミンテスト)
ビタミン剤であるアリナミン注射液には強烈な匂いがあり、それを静脈注射して匂うかどうかを確かめる検査。血液循環で肺に至った匂い成分が、吐く息と共に鼻の後方から入って匂いを感じさせます。嗅覚低下、嗅覚脱失があるかどうかの判断はできますが、障害程度を判定することはできません。従って治療効果の判定にも向かないし、匂いを識別する検査の機能もないため、当院では行っていません。
(4)日常のにおいアンケート
あくまでアンケートで検査ではありませんが、20種類の匂いについての質問で、嗅覚基準検査やオープンエッセンスとも強い相関があり、障害程度や匂いの識別能を知る目的匂いて、臨床上は他の検査と遜色ありません。
嗅覚障害の治療
新型コロナウィルス感染で嗅覚障害を起こすことはよく見られますが、多くは一時的な粘膜の炎症や腫脹によるもので、2、3週間のうちに治ります。中には副鼻腔炎を起こしたり、嗅神経がダメージを受けて長期続く方もいらっしゃいます。
副鼻腔炎による嗅覚障害は、副鼻腔炎の治療とステロイド(リンデロンないしオルガドロン)の点鼻で、ほとんどの方が治ります。ただしこれらの点鼻薬は、長期連用すると全身の副作用が出ることがありますので、注意が必要です。
しかし、好酸球性副鼻腔炎では、点鼻だけでは嗅覚は戻らないことが多いです。好酸球性副鼻腔炎の患者さんの多くは気管支喘息を合併していますが、喘息治療でステロイドと気管支拡張剤の合剤を吸入するとき、吸った空気を口からではなく鼻から吐き出すと、効果が出る場合があります。
嗅覚障害の原因として副鼻腔炎の次に多いのは、感冒(風邪)のウィルスによる嗅神経の障害です。嗅神経の修復には、当帰芍薬散などの漢方薬が有効な場合があります。
1日何回か、数種類のにおいを10秒ほど意識してクンクン嗅ぐトレーニングも、有効とされています。
ステロイド点鼻のための快適な姿勢
Kaiteki(快適) positon (you tube)
- 1
点鼻する側を上にして、横になります。
- 2
そのまま首を回して顔を30度上に向けます。
- 3
次に顎を30度上げ上側の鼻に数滴点鼻を行い、しばらくそのままでいます。
- 4
身体を起こすと薬がのどに落ちてくるので飲み込まずに口から出して、うがいをして薬を洗い流します。
- 5
反対側も同様に点鼻します。
新型コロナウイルス後遺症
新型コロナウイルスに感染した方が爆発的に増え、それに伴って以下の様なコロナ後遺症に悩まれる方も多くなっています。
*嗅覚異常
*味覚異常
*呼吸困難感
*咳、痰
*倦怠感
*発熱・微熱
嗅覚異常、味覚異常は耳鼻咽喉科が専門とする症状であり、呼吸困難感や咳、痰も耳鼻咽喉科医でよく見られる症状です。
当院でも嗅覚障害を中心とした新型コロナウィルスの後遺症に取り組んでいます。コロナ後遺症の嗅覚障害の原因は複合的な場合も多く、正確な診断と治療及び嗅覚トレーニングが必要です。