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舌下免疫療法とレーザー治療

副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎

舌下免疫療法は、根気はいりますが、アレルギー性鼻炎を”完治”させる可能性のある唯一の方法です。レーザー治療は、比較的即効性があって、その治療効果の持続は3ヶ月から半年とされますが、痛みや出血がほとんどない治療です。

舌下免疫療法

免疫療法は、治療を終了したあとも効果がずっと続いてくれる可能性のある治療法です。

 

当院では2014年10月、スギ花粉の舌下免疫療薬シダトレンが発売された直後から、いち早く舌下免疫療法を開始して、6年以上にわたり多くの患者さんにこの治療を行っていますが、実際の体験から分かったことは、1年目(舌下免疫療法を開始した次の年)から効果が出る方が予想以上に多いということです。そして、治療を続けられた方で効果がなかった方は10.5%しかいません。

 

グラフは平成30年の花粉飛散終了時に調べた、当院におけるスギ花粉舌下免疫療法の治療成績ですが、この年は花粉が大量飛散したにもかかわらず、無症状だった方が13.2%いらっしゃいました。著効、有効も合わせると、89.5%の方に治療効果が認められています。

 

スギ花粉の治療を続けると、1年目より2年目、2年目より3年目と、さらに改善していく方が多いです。5年間治療を続けて、最後の2年ほどは花粉が飛散する季節にも全く症状がなくなり、既に治療を終了した方も何人もいらっしゃいます。

  無効 10.5%
  有効 39.5%
  著効 36.8%
  無症状 13.2%
舌下免疫療法とは?

免疫療法(減感作療法)はアレルギーの原因物質(アレルゲン)を少量から投与して体を慣らす治療法です。それを注射ではなく、溶ける錠剤を舌の下に入れることで行うのが、舌下免疫療法です。

1日1回、少量から服用を始めて増量し、その後は決まった量の服用を、スギ花粉症の治療であっても花粉飛散期以外も含めて、毎日長期間続けます。

どのような人が対象になりますか?

スギ花粉の治療、ダニ(ハウスダスト)の治療とも、舌の下に溶ける錠剤を入れて1分間保持し、それから飲み込むということができさえすれば、年齢的には何歳でもできます。もっとも実際にはそれができるのは、5歳以上でしょう。

血液検査などでアレルギーの原因が確定診断されている方が対象になります。ただしβ阻害薬、抗うつ剤、全身ステロイドの連用や抗癌剤使用、重症の気管支喘息、心臓病、癌や免疫疾患を治療中の方などは、できないことがあります。

どのような効果が期待できますか?

アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状をおさえること(寛解)が期待できます。症状が完全におさえられない場合でも、大多数の方で、症状をやわらげ、薬の使用量を減らすことができます。免疫療法は今のところ、治療を終了したあとも、効果がずっと続いてくれる可能性のある、唯一の治療法です。

この治療を行うと必ず治りますか?

従来から行われている注射による免疫療法の成績から、治る人(およそ2割)、軽くなる人(およそ6割)、全く効果のない人(およそ2割)と予想されましたが、当院での治療成績では、”治る”方は予想よりずっと多く、効果のないの方は、予想より少なく1割程度です。

効果はすぐ出ますか?

個人差が大きいですが、効果が出始めるまで数ヶ月程度です。1年目より2年目、3年目と、さらに効果が高まることが多いです。

治療期間はどれぐらいですか?

数ヶ月から1、2年で効果が出始めることが多いですが、そこでやめてしまうと、元に戻ってしまう可能性が高いです。少なくとも3年以上、できれば5年続けることが推奨されています。

通院の必要はありますか?

治療を開始して2週間後に受診していただきます。その後(維持期)も、原則として1ヶ月1回の通院が必要です。

副作用はありますか?

スギ花粉の治療ではめったにありませんが、ダニの治療では口の中の腫れや痛み、のどのかゆみなどが出ることが時にあります。しかし、それも治療開始直後に限られることが多いです。

 

重大な副作用であるアナフィラキシーは、日本の舌下免疫療法では1例がいるだけのようです。外国では数例のアナフィラキシーの報告があります。従来から行われている注射による免疫療法では、ときにアナフィラキシーを起こすことが報告されています。

アナフィラキシーとは、どんな副作用ですか?

薬などに対する急性の過敏反応で、多くの場合30分以内に、蕁麻疹などの皮膚症状や、嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、突然のショック状態(蒼白、意識の混濁)などがみられるものです。

アナフィラキシーを起こしやすいのはどんなときですか?

服用開始初期、そしてスギ花粉症の治療ではスギ花粉が飛散している時期は、とくにアナフィラキシーに対する注意が必要です。そのため、初回の服用は病院で行い、30分間様子を見ます。また、服用前後2時間は、激しい運動、アルコール摂取、入浴は避けます。

万一アナフィラキシーが起きてしまったら、どうすればいいですか?

舌下免疫療法では、注射での免疫療法に比べると、アナフィラキシーの可能性は低いとされていますが、注射のように病院で行うのではなく、自宅などで行う治療ですので、万一起きた時はすぐに病院に行く必要があります。

治療を休まなければならないのはどんな時ですか?休んだ場合はその日の薬はどうすればいいですか?

喘息発作や症状が激しい時、口内炎など口の中に傷や炎症がある時、風邪を引いて体調が悪い時、抜歯など口の中の手術や治療を行った時は原則として服用しないでください。翌日、服用できるようになったら前の日の分だけ服用するようにし、2日分併せて服用してはいけません。

いつでも治療を開始できますか?

花粉症の治療は、スギ花粉飛散期(1月から4月まで)に治療開始することは避けます。また効果が出るまで数カ月かかるので、治療開始は5月中旬から、 11月中旬までが良いでしょう。ダニアレルギーの治療は、いつでも開始できますが、花粉飛散時期は避けることが推奨されています。

妊娠中は治療できますか?

妊娠中に治療開始する事は避けます。既に開始している場合続けることができますが、授乳中を含め、安全性が確立していないとされており、医師とよく相談してください。

従来の皮下注射による免疫療法と舌下免疫療法とで、効果や副作用に差がありますか?

一般的には効果は同様と思われますが、個人的な経験では、舌下免疫の方が効果が高い印象です。最も重大な副作用であるアナフイラキシーについては、舌下免疫の方がかなり少ないです。

スギ花粉と(ダニ)ハウスダストの両方の治療が必要な場合はどうなりますか。

まだ正式のガイドラインにはありませんが、どちらか片方から始め、問題なければ少し後からもう一方を始める形で、両方の治療を同時に行うことも可能です。

どちらの症状が重いか、始める時期がいつかなどで、どちらを先にするかを決めます。

 

費用はどれぐらいかかりますか?

スギ花粉の治療薬シダキュアより、ダニの治療薬ミティキュアの薬剤料の方が、少し高いですが、いずれにせよ、医院での診察、処方料、薬局での薬代、調剤料等を合わせて、3割負担で月3,000円(1日あたり100円)程度です。

レーザー治療

通常の薬による治療で十分治らない場合や、薬を長期飲みたくない方には、手術という選択肢もあります。とくにレーザー治療は、痛みや出血がほとんどなく学童にも可能な、日帰りでできる手術です。

 

花粉症の予防としても、飛散前に行うと、効果が期待できます。粘膜を切り取るような入院が必要な手術を行った場合に比べると、治療効果の有効率と持続期間がやや劣りますし、効果の程度には個人差がありますが、多くの方に改善が期待できます。

 

当院のレーザー治療の特徴

1 内視鏡下手術

内視鏡の画像を拡大してテレビモニターで見ながら手術を行うので、安全に確実に治療することができます。ご希望があれば、ご本人や保護者の方に、手術中の鼻内の様子を見てもらうこともできます。

2 CO2レーザーと半導体レーザー

より高い効果が得られる新しい照射モードが使えるCO2レーザーを主体に、術中の焦げ臭さが少ない半導体レーザー(コンタクトタイプ)を、使い分けて使用しています。

 

手順

1 薬をスプレーして鼻内をきれいにした後、麻酔用の綿を数本入れて、15分ほど待っていただきます。

 

2 目の保護のためゴーグルをかけていてもらいます。

 

3 内視鏡下に、粘膜にレーザー光をまんべんなく照射します。両側の鼻の治療に5分から10分程度かかります。

 

4 手術終了後は15分程様子を見てかから、帰宅していただきます。

 

 

手術後

*手術後は一時的に鼻づまりや鼻水などの症状が強くなりますので、その軽減のために、抗アレルギー薬を飲んでいただきます。

 

*当日は入浴、運動、飲酒を避け、鼻も強くかまないようにします。

 

*翌週にもう一度受診していただき、かさぶたの掃除などを行います。

 

その他事項

*治療効果の程度や持続期間は、個人差が大きいです。一度の治療で長い間症状がとれる人もいれば、数ヶ月しか効果の続かない場合もあります。新しい報告では、持続期間は平均して半年程度とされています。 

ただし、効果が長続きしない場合でも、2度目、3度目の治療を行うと、より効果が高くなると言われています。

 

*花粉症のシーズン中に行うと、手術直後の一時的な増悪が大きくなりますので、花粉症の予防として行うのであれば、1月中に行うのがベストです。