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のどのつかえ、つまり、違和感

2020.12.10

のどのつかえ、つまり、違和感といった症状は、咽喉頭違和感と呼ばれ、よく見られる症状ですが、原因は様々です。

 

下咽頭癌や喉頭癌でも、このうな症状が起こります。だから、のどのつかえ、つまり、違和感が長引く時には、耳鼻咽喉科を受診して内視鏡によるのど の検査を受けてください。

 

もちろん、癌ではない他の原因の事も多いです。内視鏡で見て癌がなければ、異常なしと言われてしまう事もあるでしょう。それで安心して症状がなくなれば、それに越したことはないです。しかし、癌ではないと言われても、症状は続く事があります。治らないのどのつかえ、つまり、違和感には、必ず原因があります。原因がわかれば、治す方法も見つかります。

 

のどのは複雑な構造の上に、嚥下や発声でよく動く部位なので、実は正常であっても、意識して唾をのむと、軽く引っかかる感じは誰でもあり得るものです。舌の付け根にある舌扁桃が大きかったり、のどを守る喉頭蓋という蓋の形が普通と違っていたり、喉頭が左右不対称であったり、いずれも病気とは言えない、のど の構造のバリエーションのようなものでうが、これらがあると、尚更咽喉頭違和感は起こりやすくなります。

 

ふだんはあまり気にならなくても、とくに自律神経の調子が悪かったりした時はのどが敏感になりますので、それだけでも咽喉頭違和感が起きることがあります。

 

睡眠不足やストレスが多い時、あるいは女性の方であれば、ホルモンのバランスが大きく変わる時などには、この症状が出やすいです。のどのつかえ、つまり、違和感は、自律神経失調症の症状として、頭痛、肩凝り、胃腸症状、冷えやのぼせ、などと並んで多く見られるものです。

 

また、唾液は年齢とともに粘性になりますが、とくに自律神経の調子が悪い時に多いようですが、口に出て来た唾液が押し上げられてた鼻の奥(鼻咽腔=上咽頭)にまったり、のど の奥にたまったりして、違和感の原因になることがあります。唾がたくさんのど の奥にたまると、時々その唾が気管に流れ込みますから、咳が続いたりもします。

 

胃液が食道に逆流して、それがのどまで痛めて咽喉頭違和感を起こしている方も、少なくありません。

 

内視鏡によってのど の奥を詳細に観察するとともに、睡眠やストレス、他の自律神経症状などをお聞きして、何が原因になっているか、見極めることが大切です。

 

胃液の逆流があるようなら、胃酸を抑える薬を処方し、唾液がたまっているようなら、無理に出そうとして咳払いをせずに時々水を一口飲むように指導します。

 

自律神経の症状が主であれば、のど以外の自律神経症状も参考に、漢方薬を選択、あるいは組み合わせて処方します。特別な病気が原因ではない咽喉頭違和感には、漢方薬が著効することも多いです。