患者さん中心の医療と、科学的診断と新しい技術を提供いたします。

舌下免疫療法とレーザー治療

副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎とは

アレルギー性鼻炎は、花粉や家の中のホコリ(ダニ)など原因となる抗原を吸い込んだとき、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状を起こす病気です。

 

眼のかゆみや咽頭のかゆみやせき皮膚のかゆみなどが起きることもあります。抗原と粘膜にある抗体が反応し、粘膜の中の細胞からいろいろな物質が出てきて、症状を起こすのです。

 

春はスギ花粉による花粉症(2月から4月)が有名ですが、スギの他にもヒノキ(3月から5月初旬まで)やハンノキ(1月から少し飛びますが主に3月から5月初旬まで)の花粉症もあります。

 

5,6月にはカモガヤなどイネ科の雑草の花粉症、9月ごろにはブタクサなど秋の雑草の花粉症もあります。

花粉症と口腔アレルギー症候群

ハンノキのアレルギーがあると、そのせいで果物(リンゴ、モモ、サクランボ、洋ナシ、ナシ、スモモ、アンズ、イチゴ、ウメ、ビワ)やナッツ、豆乳(生の大豆)で口腔やのどにアレルギーを起こす口腔アレルギー症候群を起こすことがあります。

 

他に夏のイネ科の雑草(カモガヤなど)、秋のブタクサなどの花粉症を起こす方もいます。なお、メロン、スイカ、きうり、パイン、柑橘系、アボガド、トマト、バナナなどによる口腔アレルギー症候群は、雑草の花粉と関連があります。

アレルギー性鼻炎の治療

アレルギーの治療は、①予防の指導(原因の除去)、②ひとりひとりに合った薬の選択、③免疫療法(舌下)、④手術(レーザーを含む)の4つしかありません。当院では、ひとりひとりに合わせて治療を選択肢、あるいは組み合わせて対応しています。

①原因の除去

まず必要なのは原因抗原(花粉、ハウスダスト・ダニなど)の予防あるいは除去です。そのため血液の検査(RAST)などで原因を確かめることは大事です。

②有効な薬(それぞれの患者さんや状況で違う)

そして第二が薬です。薬は患者さんそれぞれによって、あるいはその年の花粉の飛散量などによって、いろいろな選択肢の中から一番良い組み合わせを選ばないと、十分効かなかったり副作用で服用を続けられなかったりすることがあります。最適な薬を選ぶためには、専門医にご相談ください。しかし、どんなに効く薬であっても、一時的な効果しかなく、体質まで変えることはできません。

③免疫療法(根本的に改善する治療法)

免疫療法は今のところ、治療を終了したあとも効果がずっと続いてくれる可能性のある唯一の治療法です。

 

当院では2014年10月、スギ花粉の舌下免疫療薬シダキュアが発売された直後から、いち早く舌下免疫療法を開始して、約4年間多くの患者さんにこの治療を行っていますが、実際の体験から分かったことは、1年目(舌下免疫療法を開始した次の年)から効果が出る方が予想以上に多いということです。そして、治療を続けられた方で効果がなかった実際の体験から分かったことは、1年目(舌下免疫療法を開始した次の年)から効果が出る方が予想以上に多いということです。そして、治療を続けられた方で効果がなかった方は10.5%しかいません。

 

今年(平成30年)は花粉の大量飛散がありましたが、無症状だった方が、13.2%いらっしゃいました。

 

グラフは平成30年の花粉飛散終了時に調べた、当院におけるスギ花粉舌下免疫療法の治療成績ですが、この年は花粉が大量飛散したにもかかわらず、無症状だった方が13.2%いらっしゃいました。著効、有効も合わせると、89.5%の方に治療効果が認められています。

  無効 10.5%
  有効 39.5%
  著効 36.8%
  無症状 13.2%
舌下免疫療法とは?

免疫療法(減感作療法)はアレルギーの原因物質(アレルゲン)を少量から投与して体を慣らす治療法です。それを注射ではなく、薬を舌の下に入れることで行うのが、舌下免疫療法です。

どのような人が対象になりますか?

現在のところスギ花粉の治療は12歳以上65歳未満、ダニ(ハウスダスト)の治療は、5歳以上で行えます。平成30年6月29日には、スギ花粉の治療も、5歳以上で行 える新薬が出ます。血液検査などでアレルギーの原因が確定診断されている方が対象になります。ただしβ阻害薬、抗うつ剤、全身ステロイドの連用や抗癌剤使用、重症の気管支喘息、高血圧、心疾患、急性感染症、自己免疫疾患などがあると、行えません。

どのような効果が期待できますか?

アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状をおさえる(寛解)可能性があります。症状が完全におさえられない場合でも、症状をやわらげ、薬の使用量を減らすことが期待できます。免疫療法は今のところ、治療を終了したあとも、効果がずっと続いてくれる可能性のある、唯一の治療法です。

この治療を行うと必ず治りますか?

すべての患者さんに効果が期待できるわけではありません。従来から行われている注射による免疫療法の成績から、治る人(およそ2割)、軽くなる人(およそ6割)、全く効果のない人(およそ2割)と予想されましたが、現在までのところ全く効果のないのは、予想より少なく1割程度のようです。

治療期間はどれぐらいですか?

1日1回、少量から服用を始めて増量し、その後は決まった量の服用を、スギ花粉症の治療であっても花粉飛散期以外も含めて、毎日長期間続けます。効果が出ても、治療の終了が早すぎると、元に戻ってしまう可能性があるため、3年以上続けることが推奨されています。治ったと思っても、治療の終了時期は、医師と相談して決めてください。免疫療法(減感作療法)はアレルギーの原因物質(アレルゲン)を少量から投与して体を慣らす治療法です。それを注射ではなく、薬を舌の下に入れることで行うのが、舌下免疫療法です。

効果はすぐ出ますか?

個人差が大きいですが、効果が出始めるまで、数ヶ月以上1年以内のことが多いです。

通院の必要はありますか?

治療を開始して2週間後に受診していただきます。その後(維持期)も、原則として1ヶ月1回の通院が必要です。

副作用はありますか?

口の中の腫れや痛み、のどのかゆみなどが出ることがあります。重大な副作用であるアナフィラキシーは、日本の舌下免疫療法では今まで1例もないですが、外国では数例のアナフィラキシーの報告があります。従来から行われている注射による免疫療法では、ときにアナフィラキシーを起こすことが報告されています。

アナフィラキシーを起こしやすいのはどんなときですか?

服用開始初期、そしてスギ花粉症の治療ではスギ花粉が飛散している時期は、とくにアナフィラキシーに対する注意が必要です。そのため、初回の服用は病院で行い、30分間様子を見ます。また、服用前後2時間は、激しい運動、アルコール摂取、入浴は避けます。

アナフィラキシーとは、どんな副作用ですか?

薬などに対する急性の過敏反応で、多くの場合30分以内に、蕁麻疹などの皮膚症状や、嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、突然のショック状態(蒼白、意識の混濁)などがみられるものです。

万一アナフィラキシーが起きてしまったら、どうすればいいですか?

舌下免疫療法では、注射での免疫療法に比べると、アナフィラキシーの可能性は低いとされていますが、注射のように病院で行うのではなく、自宅などで行う治療ですので、万一起きた時はすぐに病院に行く必要があります。

アナフィラキシーを起こしやすいのはどんなときですか?

服用開始初期、そしてスギ花粉症の治療では、スギ花粉が飛散している時期は特にアナフィラキシーに対する注意が必要です。そのため初回の服用は病院で行い、30分様子を見ます。また服用前後2時間は運動、アルコール摂取、入浴は避けます。

治療を休まなければならないのはどんな時ですか?休んだ場合はその日の薬はどうすればいいですか?

喘息発作や症状が激しい時、口内炎など口の中に傷や炎症がある時、風邪を引いて体調が悪い時、抜歯など口の中の手術や治療を行った時は原則として服用しないでください。翌日、服用できるようになったら前の日の分だけ服用するようにし、2日分併せて服用してはいけません。

いつでも治療を開始できますか?

花粉症の治療は、スギ花粉飛散期(1月から4月まで)に治療開始することは避けます。また効果が出るまで数カ月かかるので、治療開始は5月中旬から、 11月中旬までが良いでしょう。ダニアレルギーの治療は、いつでも開始できますが、花粉飛散時期は避けることが推奨されています。

妊娠中は治療できますか?

妊娠中に治療開始する事は避けます。既に開始している場合続けることができますが、授乳中を含め、安全性が確立していないとされており、医師とよく相談してください。

従来の皮下注射による免疫療法と舌下免疫療法とで、効果や副作用に差がありますか?

一般的には効果は同様と思われますが、個人的な経験では、舌下免疫の方が効果が高い印象です。最も重大な副作用であるアナフイラキシーについては、舌下免疫ではまだ1例もないので、今の所比較のしようがありません。

スギ花粉と(ダニ)ハウスダストの両方の治療が必要な場合はどうなりますか。

まだ正式のガイドラインにはありませんが、どちらか片方から始め、問題なければ少し後からもう一方を始める形で、両方の治療を同時に行うことも可能です。

費用はどれぐらいかかりますか?

スギ花粉治療薬シダトレンが、医院での治療費と薬局での薬代を合わせて1日あたり100円程度(3割負担の場合)です。ダニの治療薬や6月29日発売の新薬シダキュアは、それよりもう少しだけ高くなります。

④レーザー治療(手術)

通常の薬による治療で十分治らない場合や、薬を長期飲みたくない方には、手術という選択肢もあります。とくにレーザー治療は、痛みや出血がほとんどなく、学童にも可能な、日帰りでできる手術です。

 

花粉症の予防としても、飛散前に行うと、効果が期待できます。粘膜を切り取るような入院が必要な手術を行った場合に比べると、治療効果の有効率と持続期間がやや劣りますし、効果の程度には個人差がありますが、多くの方に改善が期待できます。当院では、CO2レーザーと半導体レーザーの2種のレーザーを備え、使い分けています。

手順

まず鼻内に薬をスプレーして鼻内をきれいにした後、麻酔用の綿を鼻内に数本挿入して15分間待ちます。 その上で内視鏡で見ながら腫れている粘膜にレーザー光をまんべんなく照射します。両側の鼻のレーザー治療に5分から10分程度かかります。 治療中は目の保護のため眼鏡をかけていてもらいます。普通、治療中痛みや出血はありませんが、念のため手術終了後は15分程様子を見てから帰宅していただきます。

手術後

手術後は一時的に鼻づまりや鼻水などの症状が強くなります。当日だけで済むこともありますが、人によってはこれが数日続きます。まれには少量の鼻血があります。当日は入浴、運動、飲酒を避け、鼻も強くかまないようにします。数種類の内服薬を処方しますので、これを飲んでいただき、手術翌日ないしは数日後には受診します。その後は治り方にもよりますが、1週間後にもう一度受診していただきます。

その他事項

アレルギー性鼻炎の症状にはいろいろな要因が関係するため、効果の程度や持続期間は人それぞれ様々です。一度の治療で長い間症状がとれる人もいれば、数ヶ月しか効果の続かない場合もあります。ただし、効果が長続きしない場合でも、2度目、3度目の治療を行うと、より効果が高くなるとも言われています。また花粉症の場合は、シーズン中に行うと、手術直後の一時的な増悪の程度と期間がより大きくなりますので、かえってつらい思いをすることがあります。花粉症の治療として行うのであれば、シーズン中ではなく、もっと前に予防的に行うべきでしょう。