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のど(咽頭・喉頭)の病気と電子内視鏡検査

のど・耳の病気と検査

良質な画像の喉頭電子内視鏡検査

喉頭はのどの一番奥で、声を出すための声帯があり、また空気を気管に食べものを食道に、振り分ける場所でもあります。

 

喉頭は、口を開けても直接見ることができませんので、観察するためには内視鏡(ファイバー)を用います。

 

鼻内に局所麻酔のスプレーをした上で、鼻から内視鏡を入れます。最近は胃カメラも鼻から入れる病院がありますが、口から入れるより鼻から入れた方が、患者さんにとってずっと楽なのです。

 

当院では、内視鏡の先端にカメラがついた電子内視鏡を用いています。

電子内視鏡により、従来の内視鏡とは比べものにならないほどの良質な画像を得られ、診断の精度を高めることができます。

 

小児では、細い内視鏡を用いることもあります。喉頭の画像は、ファイリングシステムに動画として保存し、患者さんあるいはご家族にその画像をお見せしながらご説明します。

のどの奥の異物は鉗子付き内視鏡で摘出

咽喉頭異物とは、魚の骨などがのどに刺さったりして取れなくなった状態を言います。

 

魚骨の多くは口蓋扁桃に刺さりますので、それなら口を開ければ見えるし、摘出も簡単です。

 

しかし、のどの奥の方に入ってしまった場合は、口を開けても見えないので、内視鏡で見ることが必要です。もし咽頭の奥の方や喉頭に異物が見つかったら、鉗子を使える特別な内視鏡で摘出します。当院では、鉗子付き内視鏡も用意して、大きな病院に行かなくても咽頭の奥の異物を摘出できるようにしています。

喉頭蓋炎と扁桃周囲膿瘍ーのどの炎症を甘く見るなー

研修医のとき、まずたたきこまれた事がふたつあります。ひとつは、”人を見たら癌と思え”。乱暴な言い方ですが、重い病気を見落とさないためには、診察の時は常に最悪の事も想定して、小さな変化も見逃すな、という意味です。


そして二つ目は”のどの急性炎症を甘く見るな”ということ。


喉頭というのは、のどの一番奥、のどぼとけの裏、声帯のある所ですが、ここがのどの中で一番狭く、しかも息の通り道は、この一カ所しかありません。ここが腫れて塞がれば、窒息です。喉頭蓋というのは、喉頭を守っている蓋なのですが、この蓋が炎症で腫れ上がることは、それほど珍しいことではありません。これが、喉頭蓋炎です。あるいはむくんでいるときは、喉頭蓋浮腫と呼んだりします。この病気になったら、一般に、窒息の危険が去るまで入院治療が必要になります。本当に重症になると、息の通り道を得るため、気管切開が必要になることもあります。


喉頭は、口を開けても見えません。このため喉頭蓋炎は、急速に進行することの多い病気ですが、内科の先生には診断できないこともあります。のど痛みが非常に強いのに、口を開けてのどを見てもたいして悪くないときは、この病気を疑って、耳鼻咽喉科で喉頭ファイバー(内視鏡)による診察が必要です。


また扁桃腺(正確には口蓋扁桃)の周りには、スカスカの線維しかないスペースがあり、そのスペースはずっと下の方まで、はっきりした境界なしに深頸部から縦隔(心臓の周り)まで続いています。扁桃炎が、その周囲まで広がり、そこに膿が貯まってしまうのが、扁桃周囲膿瘍です。こうなると、強力な抗菌薬と、針を刺して(穿刺)膿を抜くことが、必要になります。重症の場合は、切開して入院治療が原則ですが、軽症であれば穿刺だけで治ることも多いです。しかし、一度なると、繰り返すことも多く、その場合は口蓋扁桃を手術で摘出する必要があります。


深頸部膿瘍は、扁桃周囲膿瘍以外の原因でも起きますが、これは本当に、命に関わる状態です。一般には、頸部を切開して膿瘍を開放し、ドレーン(膿を排泄させるための管など)を留置する、手術が必要になります。早期に治療すれば良いのですが、大学病院に勤務していた頃、紹介されていらしゃった時点で既に進行しており、手をつくしても救命できなかったこともありました。


耳鼻咽喉科は、耳や鼻の病気を診るだけではなく、頭頸部の手術を行う科です。開業医は、手術まではできませんが、咽喉頭や頸部の病気をしっかり診断して、適切な病院に紹介するのも、耳鼻咽喉科開業医の役目です。

声がれの原因が、癌や大動脈瘤のこともある

もう一つのどの病気で緊急性を要する可能性のあるのは、反回神経麻痺です。嗄声(声がれ)は、炎症や声帯ポリープでも起きますが、声帯を動かす神経である反回神経の麻痺でも起きます。反回神経は脳から出る神経の一つである迷走神経の枝ですが、一旦胸の中まで降りて行って、大動脈の周囲を回って上に戻ってきて喉頭に入ります。このため喉頭の病気ではなく、甲状腺の癌や、胸の中の病気、例えば大動脈周囲のリンパ節の腫瘍や、そして大動脈瘤で起こることがあるのです。急な反回神経麻痺は、大動脈瘤の悪化を示す場合があり、それは命の危険もある状態です。

 

ですから、そういう怖い病気になりやすいある程度以上の年齢の方の声がれでは、明らかにカゼに引き続いた炎症と考えられる場合は別ですが、内視鏡を使って声帯あるいは喉頭を直接見る必要があります。